募集番号199の次郎吉が去る6月28日、トライアル(飼育希望者宅での試し飼い)中に事故で亡くなりました。 私たちの会が今年3月19日にセンターから引きだした体重3kgたらずのMIXの男の子でした。
6月28日午後5時すぎ、次郎吉はトライアル先の自宅マンションの2階ベランダから飛び降りて、マンションを囲む柵をすり抜け、道路に出ました。 マンション脇の道路を走る次郎吉を通りがかった人が目撃していました。 トライアル先の家族はもちろん、連絡を受けたPerro Dogs Homeのスタッフも午後7時半には現場に到着し、周囲の捜索をはじめました。 翌日の午前中には一帯にポスターを貼りました。 が、私たちの願いもむなしく、次郎吉はマンションから走り出た直後に、300メートルほど離れた環七で車に跳ねられていたのでした。 危険をおかして車道から歩道に次郎吉を運んでくださった住民の方によれば、即死状態であったそうです。 私たちは変わりはてた次郎吉を翌日に発見しました。
次郎吉の死に、私たちはかつてない大きな衝撃を受けました。 Perro Dogs Home発足以来これまで、トライアル期間中をふくめて会の保護下にある犬を喪ったことは一度もありませんでした。
次郎吉の命をつなぐために、これまでにたくさんの人々が力を尽くしてくれていた事実を私たちは知っています。 東京都動物愛護相談センターの職員の皆さん、Perroを支援してくださっている方々、ボランティアの仲間たち、そしてなによりも3か月にわたって心血をそそいで次郎吉をケアし、かわいがってくれた預かり家庭……。
その次郎吉の生命を付託された私たちスタッフには大きな責任がありました。その責任を忘れたことは一度としてありません。 今回も、私たちは必要とされる手順をすべて踏んだつもりでいました。 お申込みを吟味し、トライアルにお届けしたときも、飼育環境をチェックして、逸走にはくれぐれも注意していただくようお願いしました。 その際に担当スタッフが、ベランダには出さないよう注意を喚起しています。
にもかかわらず、とりかえしのつかない事故が起きてしまいました。 最善を尽くしたつもりで、私たちに何か大きな不足があったに違いありません。 その不足を埋め、二度とこうした事故を起こさないことが私たちの責務であり、次郎吉の死に報いる唯一の方法だと思います。
次郎吉は、多頭飼育の劣悪環境で暮らしていた子でした。 外の世界を知らなかったのでしょう。ちょっと他に例を見ないほどの怖がりでした。 けれども心をゆるした相手には、すがるように寄り添い、相手の愛情が得られるのを全身で喜び、安堵しました。 私たちはその次郎吉のかけがえのない生をまっとうさせてあげることができませんでした。 次郎吉が懸命の思いで私たちに投じたひと筋の信頼にこたえることができませんでした。 次郎吉には心底詫びたいと思います。本当にご免なさい。 私たちは二度とあやまちをおかなさい決意で今後の活動にのぞみます。
次郎吉の救援にたずさわっていただいた多くの方にお詫び申しあげます。皆さまの信頼の付託を裏切ってしまいました。 次郎吉の捜索にご協力いただいた地元の皆さまに深くお礼を申しあげます。とりわけ、環七で車に跳ねられた次郎吉を、歩道まで連れ戻してくださったお一人の住民には感謝の言葉もありません。その行為がなければ、次郎吉のなきがらは私たちのもとに帰ってくることができなかったはずです。
次郎吉は6月29日に観蔵院(練馬区南田中)で荼毘に付しました。 いまは観蔵院でしずかに眠っています。 その魂よ、安らかに。そして、願わくは、その場から私たちの活動を見守りつづけてください。
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*次郎吉の死を悼んで、Perro Dogs Homeのトップページには当分、黒いリボンを置きます。
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2010年07月09日(金)
No.248
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